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主な研究テーマ
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本研究室で,博士課程・修士課程および学部4年生が取り組んでいる主な研究テーマの紹介です.

ウッドプラスチック複合材料の疲労信頼性
パーム油残渣のミクロ・ナノフィブリル化によるPP基複合材料の創製

 PD Azmi Nordin, M1 坂本健太, B4 ハニス バルキス
近年,北米や欧州,中国などで,階段や廊下の手すり, 住宅のデッキなどに木材のような色調のプラスチックをよく見かけるようになってきた.これは,WPC(Wood Plastic Composites)と呼ばれるもので, 木粉とポリプロピレンの複合材料である.木粉とプラスチック双方の欠点を補いあった素材として注目されている.WPCは構造材として使われ始めているが, まだ疲労特性がはっきりとしていない.なので,本研究ではWPCの疲労特性を調査するために,引張・疲労試験を行った.これより, 木粉含有率が高い程,強度・疲労寿命が上昇することが確認できた.しかし,疲労試験についてはまだデータが少ないため,さらなる試験が必要である.

亜麻スライバー繊維強化グリーンコンポジットの強度特性に及ぼすZ-anchor効果
          M1 野村剛志
 環境問題が問われる現在,GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)等の代替材として, 環境負荷の少ない天然繊維を強化材としたグリーンコンポジットが注目を浴びている.しかし,天然繊維は特有の繊維うねりを有しており, そのまま強化材として使うと力学的性質の低下を招く.そこで,不織布の作製方法に準じて,亜麻繊維スライバー繊維間を結合させた強化材を用い, グリーンコンポジットを作製するとともに強度特性の改善を図った.ニードルパンチ処理を行うとある程度のパンチ数を行うことで処理効果を得ることが出来た. しかし最適化まではいたっていない.

ラミー麻撚糸における引張強度と撚り構造の関係
 M1 弘中佑紀
 天然繊維はしばしば撚糸として使用され, 撚糸は一方向にそろっているためFRPの強化材に適している.撚糸にはマイグレーションと呼ばれる単糸が撚糸の表面から内部へ移動する現象が存在し, 従来の研究ではこのマイグレーション構造と引張強度の関係を調査した.このことを参考に昨年度の研究では中心の単糸にまとわせるように撚りをかける ことでマイグレーションの発生しない撚糸の作製を試みた.その結果,従来の撚糸に比べ引張強度を向上させることに成功した. しかしこの構造の撚糸では撚りはじめの中心を境に左右で引張強度に違いが生じ,おもり側は高い強度が得られたのに対し,ハンドル側の強度は低下してしまった.

ラミー短繊維/PPグリーンコンポジットの二軸繰返し引張負荷処理による強化効果
 M1 桐生敬大,B4曽田拓人
 昨年度はRamie/PP複合材料に対して,等2軸繰返し引張負荷処理, 単軸/単軸繰返し引張負荷処理の2種類の引張負荷処理を施し,それぞれ強化効果の発現がどの程度であるのかを検証した.その結果として,繊維含有率5wt%, 10wt%では強化効果の発現はどちらの条件でも確認できなかった.原因としては,繊維にうまく負荷を与えることができなかったことなどが考えられるため, 今年度は材料の作製方法,試験方法などから改善を行っていく必要がある. イメージ

湾曲短繊維強化グリーンコンポジットの繊維周りの破壊挙動
M1 平松昇太郎, B4 アミルル リッズアン
 現在,地球規模での環境問題が問われている. 環境に与える影響が大きいCFRPやGFRPの代替材として,環境に負荷を与えない天然繊維を用いた複合材料への注目が集まっています. そこで,本研究では,天然繊維(ラミー単糸)と熱可塑性樹脂PPを用いて短繊維強化GCを作成しその機械的特性について調査を行った. 天然繊維を用いることで天然繊維特有の湾曲した繊維が確認できた.湾曲した繊維のパターンを調査し,評価方法を考案した. 問題点として繊維の交絡については評価の方法が考案できていなかったため考慮していないことが挙げられる. 考案した評価方法が妥当か検証するために解析ソフトを用いて検証を行った.湾曲した繊維の影響を考慮した剛性予測式を考案した.

CFRP直交積層板のFEM援用による2軸負荷試験法の提案
 M2 権藤純平,M1 沖真彦,B4 奥野幸一
 十字型CFRP直交積層板が2軸引張試験機の荷重制約の中で破壊しうる 形状を数値解析を用いて調査し,実験を行い試験片形状の最適化を行った.従来の試験片は直交部を直角に製作するのに難があり,早期破壊の原因となっていることが明らかとなったため, 最終的な試験片では直交部の製作性と試験片が2軸応力下で破壊する前提双方を考慮して直交部に曲率を設けた.曲率を設けた試験片形状は再現性を検証する必要があるが破壊率と破壊した 荷重領域が広範囲であったことから破壊機構を調査する試験片として適していると考えた.また,破壊様相から表層の破壊機構は繊維垂直方向の荷重が上昇するにつれて繊維破断からほうき 状破断へと移行する(右図)という推定を行い,引き続き調査が必要であると考えた.

ラミー/バイオPAグリーンコンポジットの結晶化とその機械的特性
M2 佐藤優斗,B4 松永 豊喜
 環境への負荷が小さい材料として, バイオマス由来の熱可塑性樹脂を天然繊維で繊維強化したバイオコンポジットが注目されている.このバイオコンポジットの強度向上のため, 繊維表面を毛羽立たせたフィブリル化繊維を複合材料の強化材として試験片を作製,機械的特性の調査を行った. その結果,フィブリル化処理繊維を使用した試験片では未処理繊維を使用した試験片よりわずかに引張強度が高い傾向が確認された. また,複合化した試験片は樹脂単体よりも引張強度が約40%ほど向上した.この結果より繊維を樹脂に混入させたことで,樹脂自体の結晶化を促進したことが考えられる. 課題としてはフィブリル化処理を施した繊維には凝集が発生しており,試験片の強度に悪影響を与えていることが挙げられる.

炭化竹繊維と発泡剤を用いた低密度アブレータの創製とその曲げ圧縮特性
M2 坂本瞳, B4 本田 健
 【昨年度の研究概要】昨年度は、 最終目標である竹繊維を用いた低密度で衝撃波を遠ざける機能又は耐リセッション機能をもつアブレータ作製の前段階として、 本研究ならではの炭化竹繊維アブレータの製作方法を確立した。JAXAアブレータ製作方法を基盤としたが、発泡剤を用いることで更に低密度化を図った。 製作したアブレータはSEMで気泡観察、比重測定、4点曲げ試験を実施したがどの項目も目標を達成した。

【問題点】気孔率未確認であること、アブレーション試験を行えていないことである。


制約条件付き有限要素モデルによる二次元界面の力学的挙動の解析
M2 山口雄大,B4 高原良彦
 セラミックスは耐熱性,耐摩耗性,耐食性などに優れるが, 靭性の低さが問題視されている.一方,SiC/SiCを始めとするセラミックス基繊維強化複合材料(CMC;Ceramic Matrix Composites)は, セラミックス繊維などを複合化させることで繊維架橋,繊維破断,繊維引抜け,界面はく離,き裂偏向などを発生させ,高靱化を実現した損傷許容型セラミックスである. 本研究では,単繊維複合材料型解析モデルの繊維/マトリックス界面に多重節点を導入し,変位および接触力のつり合い式からなる界面接触条件を定義した. また,これを用いて剛性方程式を変形することにより,1回の計算で変位解を求めることを可能とした. 昨年度までは,界面と応力の方向に角度αをもつoff-axissの場合の制約条件付き有限要素モデルの妥当性を汎用有限要素解析ソフトANSYSの解析結果との比較し, 妥当性の検証を行った.しかしこれまでの制約条件付き有限要素モデルは軸対称モデルでないと解析ができなかった. セラミックス繊維の一部には表面に亀裂が入っていたりコブ状の突起が発生している場合がある. また,繊維の軸方向と応力の方向に角度がある場合もこれまでの軸対称モデルでは解析ができなかった.

単撚糸GCの撚糸破断時の応力回復挙動に及ぼす撚りの影響
M2 清水貴大, M1 吉村隆
 ラミー麻単糸から取り出した単繊維を3本を用いて作られた撚糸を 有する単撚糸複合材料(3YNFC)を作製し,その場観察引張試験を行った結果,多重繊維破断挙動が見られた.各TPI(Twist Per Inch=1インチ当たりの撚り数)ごとに 応力回復長さを求めた結果,大きな変化は見られなかった.また10本撚糸の場合応力回復長さは約2倍に増加した.また有限要素法ソフトANSYSを用いて樹脂中の3本撚糸の応力場を調査した結果, TPIが増加すると繊維軸応力が僅かながら減少した.破断繊維を1本有する場合,健全繊維の応力場が異なっていることが分かった.しかし,現段階では試験片のサンプル数が少なく, 実験結果にばらつきが見られるので試験を繰り返し行う必要性がある.

撚糸GC直交積層板の破壊挙動に及ぼす撚り数と積層構成の影響
 M2中島航希, M1古宮山健太郎
 昨年度はTPI=1.5,9.5の2種類の撚糸をそれぞれ[0°/90°]sとした 積層板の引張試験を行いその撚り数が破壊挙動にどのように影響するか調査を行った.その結果従来のCFRPやGFRPの直交積層板と比較して撚糸強化GC直交積層板は90°層の き裂に対する感受性が低い材料であるということが分かった.しかし,0°層,90°層それぞれに違う種類の撚糸を用いた積層板の破壊挙動を調査するまでには至らなかった.

天然繊維の定量供給を実現した高分散性グリーンコンポジットペレットの開発
 M2 本田宗靖,B4 潟岡陽
 昨年度は, 天然繊維複合材料の特性が詳しく解明されていない現状から, ペレットの特性がGCに影響を与えると仮定し, ペレットを作製するための単軸押出機の開発を目的とした. 既存の単軸押出機の構造とそれぞれの役割等を調べ, 新たに単軸押出機の設計を行った. そして配線関連以外の全てを完成させたが 問題点として, 配線が昨年中に終わらなかったこと, また安全設計に不備が多々あり実際に使用するには注意が必要となる. そして昨年設計した押出機は廉価であることのみに焦点をあわせていたので, ペレットの特性向上のための仕様がなされていない. これらは今年度シリンダを再設計し, ペレット特性向上を目指さなければならない.

欧州基準高速鉄道用レールの疲労信頼性
 M1 竹内鷹樹
 欧州規格のレールの疲労試験を行うための準備として、 4点曲げ試験装置の準備、試験を行った。試験ではアーク溶接された試験片と、フラッシュバット溶接された試験片を用い、二つの溶接方法の比較を行うとともに、 SEMによる破断面の観察を行った。問題点としては、試験片が少なかったため、より信頼できるデータが得られなかった。 また、単純なsin波による繰り返し試験しか行っておらず、実際の疲労強度についての検討を行うことができなかった。.
   

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